新規建設業

建設業許可を新規取得するには?必要書類・要件・申請の流れを解説
「建設業許可を取得したいけれど、何から準備すればいい?」
「自分の会社は建設業許可の要件を満たしている?」
「必要書類が多くて、どこまで準備すればいいのかわからない」
建設業許可を新規取得する際には、このような疑問を持つ方が少なくありません。
建設業許可の申請では、単に申請書を作成するだけではなく、経営経験、技術者の資格・実務経験、財産的基礎、営業所の実態などを資料によって証明することが重要です。
特に新規申請では、過去の経験を証明する資料をそろえる必要があるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
この記事では、建設業許可を新規取得するための主な要件、必要書類、申請の流れについて、神奈川県での申請を念頭にわかりやすく解説します。
建設業許可が必要なのはどんな場合?
建設業を営もうとする場合、原則として建設業許可が必要です。
ただし、一定の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合には、建設業許可は必要ありません。
たとえば、建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満の工事が基本的な基準となります。
そのため、
- 500万円を超える工事を請け負いたい
- 元請会社から建設業許可を取得するよう求められた
- 今後、公共工事や大規模工事を受注したい
- 事業拡大に備えて許可を取得しておきたい
という場合には、建設業許可の取得を検討することになります。
なお、建設業許可が必要かどうかは請負契約の内容や工事の種類によって判断する必要があります。
建設業許可の新規取得には「要件」と「証明」が必要
建設業許可を取得するためには、法律上の許可要件を満たしていることが必要です。
国土交通省は、建設業許可について、主な許可要件として、
- 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
- 営業所技術者等の設置
- 誠実性
- 財産的基礎等
を挙げています。
さらに、欠格要件に該当しないことも必要です。
そして、実際の申請では、
「要件を満たしている」ことを資料で証明する
必要があります。
ここが建設業許可申請の重要なポイントです。
建設業許可の新規取得に必要な主な要件
1.経営業務の管理を適正に行う能力
建設業許可を取得するためには、建設業の経営業務について一定の経験を有する者を配置する必要があります。
代表的なものとして、
建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する者
などの要件があります。
ただし、これ以外にも、経営業務の管理責任者に準ずる地位での経験や、役員等としての経験と財務管理・労務管理・運営業務の経験を組み合わせる方法など、複数の要件があります。
そのため、
「建設会社で5年以上働いていたから大丈夫」
という単純な判断はできません。
経営業務の経験を証明する資料
実際にどのような資料が必要になるかは、申請者の経歴によって異なります。
たとえば、
- 登記事項証明書
- 建設業許可申請書・変更届等の過去の行政書類
- 役員としての在籍期間を確認できる資料
- 確定申告書
- 工事請負契約書
- 注文書・請書
- 請求書
- 入金を確認できる資料
などを組み合わせて、経営経験を証明することがあります。
つまり、新規申請では「経験年数」だけではなく、その経験をどの資料で証明できるかが重要です。
2.営業所技術者等を配置する
許可を受けようとする営業所には、許可を受ける業種について一定の資格または実務経験等を有する営業所技術者等を専任で配置する必要があります。
一般建設業の場合、代表的には次のような方法があります。
- 国家資格等を取得している
- 指定学科を卒業し、一定期間の実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
- その他、法令で定められた要件を満たしている
たとえば、一般建設業では、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有する者が要件を満たす場合があります。
営業所技術者等の確認資料
資格によって申請時に必要となる資料は異なりますが、代表的には、
- 資格証明書
- 合格証明書
- 免許証等
- 実務経験証明書
- 学校の卒業証明書
- 指定学科を修めたことを確認する資料
- 実務経験を裏付ける工事関係資料
などを準備します。
神奈川県の手引きでも、資格者証等の確認資料について具体的に案内されています。
3.財産的基礎を満たしている
一般建設業許可では、一定の財産的基礎が必要です。
代表的には、
- 自己資本が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力がある
- 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある
のいずれかに該当する必要があります。
新規申請の場合には、預貯金残高証明書によって500万円以上の資金調達能力を証明するケースがあります。
神奈川県で新規申請する場合の注意点
神奈川県の令和8年度版手引きでは、預貯金残高証明書について、500万円以上の残高が証明され、残高日が申請日から起算して前1か月以内のものなど、具体的な取扱いが定められています。
そのため、
「数か月前に500万円あったから大丈夫」
とは限りません。
申請のタイミングに合わせて、残高証明書を取得することが重要です。
4.適正な社会保険に加入している
建設業許可の要件として、適正な社会保険への加入も確認されます。
健康保険・厚生年金については適用事業所に該当する営業所について届出がされていること、雇用保険についても適用事業の事業所について届出がされていることが必要です。
法人か個人事業主か、従業員の人数などによって加入関係が変わるため、申請前に確認しておきましょう。
5.営業所が適切に設置されている
建設業許可では、単に「会社の住所がある」というだけではなく、営業所についても確認されます。
神奈川県では、新規申請に際して営業所の確認資料として、営業所の写真などを提出します。
具体的には、
- 商号が確認できる建物外観
- 事務室内部
- 営業所の所有状況
- 他社との区画状況
などが確認されます。
たとえば、自宅を営業所として使用する場合には、事務所部分と住居部分が明確に区分されていることなどが必要になります。
また、他社と同じ建物やフロアを使用している場合にも、営業所として独立した状態であることを確認できるようにしておく必要があります。
6.誠実性・欠格要件を確認する
建設業許可では、申請者や役員等について、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことなどが求められます。
また、建設業法では欠格要件が定められており、該当する場合には許可を受けることができません。
新規申請では、役員等についても確認が必要になるため、会社だけでなく役員についても事前に確認しておくことが大切です。
建設業許可の新規申請に必要な書類
ここからが実際の申請で重要になる部分です。
建設業許可の申請書類はかなり多く、申請者の状況によって必要書類も変わります。
神奈川県では、令和8年度版の手引きで「申請書の作成及び必要添付書類」と「許可要件等の確認資料」が分けて整理されています。
主な書類を目的別に整理すると、次のようになります。
① 建設業許可そのものに関する書類
代表的には、
- 建設業許可申請書
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 営業所技術者等一覧表
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 使用人数
- 誓約書
- 定款
- 営業の沿革
- 所属建設業者団体
- 主要取引金融機関名
などがあります。
申請する業種や一般・特定の区分などによって、必要となる書類は変わります。
② 法人・個人に関する確認書類
法人の場合には、たとえば、
- 履歴事項全部証明書
- 定款
- 法人の納税関係書類
- 役員等に関する確認資料
などを準備します。
個人事業主の場合には、法人とは異なる資料が必要になります。
③ 経営業務の管理責任者等を証明する書類
経営業務の管理責任者等については、単に申請書へ経歴を書くだけではありません。
その経歴を裏付ける資料が必要となります。
代表的な資料として、
- 登記事項証明書
- 役員在籍期間を確認できる資料
- 過去の建設業許可申請関係書類
- 確定申告書
- 工事請負契約書
- 注文書・請書
- 請求書
- 入金資料
などがあります。
ただし、どの資料が必要になるかは、経営経験をどの類型で証明するのかによって変わります。
ここは新規申請で特に事前確認が重要な部分です。
④ 営業所技術者等を証明する書類
営業所技術者等については、資格で要件を満たすのか、実務経験で要件を満たすのかによって必要資料が変わります。
資格で申請する場合には、
- 資格証明書
- 合格証明書
- 免許証等
などを提出します。
実務経験で申請する場合には、
- 実務経験証明書
- 工事内容を確認できる資料
- 過去の契約書
- 注文書・請書
- 請求書等
によって実務経験を確認することがあります。
⑤ 財産的基礎を証明する書類
新規申請で一般建設業許可を取得する場合、500万円以上の資金調達能力を証明するため、
預貯金残高証明書
を使用することがあります。
神奈川県では、残高証明書について残高日などの具体的な条件が定められています。
申請直前になってから準備するのではなく、申請予定日を確認したうえで金融機関に発行を依頼しましょう。
⑥ 営業所を証明する書類
神奈川県では、営業所について、
- 建物外観の写真
- 商号が確認できる看板等の写真
- 事務室内部の写真
- 営業所の所有状況
- 他社との区画状況を確認できる資料
などを確認します。
特に、
「自宅を営業所にする」
「他社と同じ建物を使用している」
という場合には、営業所としての独立性を確認しておくことが重要です。
⑦ 納税関係の書類
神奈川県で知事許可を申請する場合、法人であれば法人事業税、個人であれば個人事業税について、県税事務所が発行する納税証明書を使用します。
新規申請では、こうした税務関係の資料も準備する必要があります。
建設業許可の申請は「書類を集めるだけ」ではない
建設業許可申請で注意したいのは、
「必要書類を全部集めれば許可が取れる」わけではない
ということです。
たとえば、営業所技術者等について、
「10年間建設会社で働いていた」
としても、その10年間の実務経験が申請する業種について認められるのか、その経験をどの資料によって証明するのかを確認する必要があります。
経営業務の管理責任者についても同様です。
したがって、新規申請では、
① 要件を確認する
↓
② 要件を証明する資料を確認する
↓
③ 足りない資料を集める
↓
④ 申請書を作成する
という順番で進めることが重要です。
建設業許可を新規取得するまでの流れ
一般的な申請の流れは次のとおりです。
STEP1 建設業許可が必要か確認
現在受注している工事や今後受注したい工事を確認します。
STEP2 許可を取得する業種を決める
建設業許可は29業種に分かれています。
自社が実際に請け負う工事の内容を確認して、取得する業種を決定します。
STEP3 一般・特定、知事・大臣を確認
一般建設業か特定建設業か、都道府県知事許可か国土交通大臣許可かを判断します。
営業所を2以上の都道府県に設ける場合には大臣許可、それ以外の場合には知事許可となります。
STEP4 許可要件を確認
- 経営業務の管理責任者等
- 営業所技術者等
- 財産的基礎
- 社会保険
- 誠実性
- 欠格要件
- 営業所の要件
などを確認します。
STEP5 証明資料を収集
ここで、
- 経営経験
- 実務経験
- 資格
- 常勤性
- 財産状況
- 営業所
などを証明する資料を集めます。
STEP6 申請書を作成
必要な申請書・添付書類を作成します。
STEP7 申請
許可行政庁へ申請書類を提出します。
国土交通省も、許可申請では許可行政庁に許可申請書および添付書類を提出する必要があると案内しています。
STEP8 行政庁による審査
提出した書類について審査が行われます。
内容に不明点や不足がある場合には、補正や追加資料の提出が必要になる場合があります。
STEP9 建設業許可取得
審査を経て許可されると、建設業許可を取得できます。
建設業許可の新規申請でよくある問題
「経営経験はあるが証明できない」
これは新規申請でよく問題になるケースです。
昔の会社で役員をしていた、個人事業主として建設業をしていたなどの場合でも、必要な資料が残っていないことがあります。
その場合には、別の資料によって経験を証明できないか検討する必要があります。
「実務経験はあるが業種が合わない」
建設工事の経験があることと、申請する業種の実務経験として認められることは同じではありません。
実際にどのような工事をしていたのかを確認する必要があります。
「営業所が自宅になっている」
自宅を営業所として使用する場合には、営業所としての独立性などについて確認が必要です。
単に住所が存在するだけではなく、建設業の営業所として適切な状態になっているかを確認しましょう。
「500万円あるから申請できると思っていた」
財産的基礎については、単に預金が500万円あるというだけで判断するのではなく、申請時点でどのような資料によって証明するのかまで確認する必要があります。
神奈川県では、預貯金残高証明書の残高日についても具体的な取扱いがあります。
建設業許可の新規取得は事前確認が重要
建設業許可の新規申請では、申請書を作成する前の準備が非常に重要です。
特に、
「自分は要件を満たしていると思う」
という判断だけで申請準備を進めるのはおすすめできません。
重要なのは、
「要件を満たしているか」
+
「そのことを資料で証明できるか」
の2点です。
特に経営業務の管理責任者等や営業所技術者等については、これまでの経歴や資格を一つずつ確認して、どの要件で申請するのかを整理する必要があります。
建設業許可の新規取得は行政書士にご相談ください
建設業許可の新規申請では、
- 許可が必要かどうか
- どの業種を取得するか
- 一般・特定のどちらにするか
- 経営業務の管理責任者等の要件
- 営業所技術者等の要件
- 実務経験の証明方法
- 財産的基礎
- 営業所の要件
- 必要書類
などを総合的に確認する必要があります。
特に初めて建設業許可を取得する場合、必要書類の収集だけでも大きな負担になることがあります。
とのうち行政書士事務所では、建設業許可の新規取得について、許可要件の確認から必要書類の整理、申請書類の作成、申請手続までサポートしています。
「自分の会社は建設業許可を取得できる?」
「これまでの経験で要件を満たしている?」
「必要書類がそろえられるかわからない」
という方も、まずは現在の状況を確認するところからご相談ください。
まとめ
建設業許可の新規取得では、単に申請書を作成するだけではありません。
重要なのは、
- 取得する許可業種を決める
- 経営業務の管理責任者等の要件を確認する
- 営業所技術者等の要件を確認する
- 財産的基礎を確認する
- 社会保険等の加入状況を確認する
- 営業所の要件を確認する
- 欠格要件を確認する
- それぞれの要件を証明する資料を準備する
という一連の作業です。
特に新規申請では、「経験があるか」ではなく「経験を証明できるか」まで確認することが重要です。
申請を始める前に、自社の経歴・資格・営業所・財務状況などを整理して、許可取得の可能性を確認しておきましょう。
※建設業許可の必要書類や確認資料は、申請者の状況や申請する許可区分・業種、許可行政庁によって異なります。神奈川県で申請する場合は、申請時点の最新の「建設業許可申請の手引き」を確認する必要があります。神奈川県は令和8年度版の手引きおよび申請書類を公開しています。



