遺産分割協議書とは?必要書類・書き方・作成方法を行政書士が解説

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遺産分割協議書とは?必要書類・書き方・作成方法を行政書士が解説

相続が発生し、相続人が複数いる場合、「誰が、どの財産を相続するのか」を話し合って決めることがあります。

その話し合いの結果を書面にしたものが、遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、不動産の相続登記、預貯金の解約・名義変更、自動車などの名義変更といった相続手続で必要になることがあります。

一方で、相続が発生したからといって、必ず遺産分割協議書を作らなければならないわけではありません。

この記事では、

「遺産分割協議書とは何か」
「どのような場合に必要なのか」
「作成するために何を準備すればよいのか」
「どのように書けばよいのか」

といった疑問について、横浜市の行政書士がわかりやすく解説します。


遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、相続人全員で遺産の分け方について協議し、合意した内容を書面にしたものです。

例えば、亡くなった父に、

  • 自宅の土地・建物
  • 銀行預金
  • 自動車

があり、相続人が母・長男・長女の3人だったとします。

相続人全員の話し合いによって、

「自宅は母が取得する」
「A銀行の預金は長男が取得する」
「自動車は長女が取得する」

と決めた場合、その内容を遺産分割協議書に記載します。

法務局も、遺産分割による相続登記について、相続人全員が協議して作成した遺産分割協議書を必要書類として案内しています。


遺産分割協議は相続人全員で行う

遺産分割協議で最も重要なのは、共同相続人全員が参加し、合意することです。

例えば、相続人が4人いるのに、3人だけで話し合って「これで決定した」とすることはできません。

そのため、遺産分割協議書を作成する前には、

誰が相続人なのかを戸籍によって正確に確定すること

が非常に重要です。

被相続人に前婚の子がいる、認知した子がいる、既に亡くなった子の代襲相続人がいる、といったケースでは、当初把握していなかった相続人が判明することもあります。

相続人の一部を除外したまま進めないよう、まず戸籍調査を行います。


遺産分割協議書が必要になる主なケース

代表的なのは、法定相続分とは異なる割合や方法で財産を分ける場合です。

例えば、相続人が配偶者と子2人であっても、

「自宅は配偶者が単独で相続する」

「事業用財産は長男が取得する」

「預貯金は長女が取得する」

というように、具体的な財産ごとに取得者を決める場合には、その合意内容を証明するために遺産分割協議書を作成するのが一般的です。

特に、不動産を遺産分割協議によって特定の相続人が取得する場合、相続登記の添付書類として遺産分割協議書が必要になります。法務局

銀行、証券会社、自動車などについても、各機関の手続によって遺産分割協議書の提出を求められることがあります。


遺産分割協議書が不要なケースもある

相続が発生したからといって、必ず作成するわけではありません。

例えば、相続人が1人しかいない場合には、そもそも他の相続人との遺産分割協議はありません。

また、複数の相続人が法定相続分どおりに相続し、その手続について遺産分割協議を必要としない場合もあります。

有効な遺言によって財産の帰属が決まっている場合も、遺言の内容に従って手続できることがあり、直ちに遺産分割協議書が必要になるとは限りません。

ただし、遺言に記載されていない財産がある場合などは別途協議が必要になることがあります。

遺言書がある場合は、先に遺言の内容を確認してから遺産分割協議を進めることが重要です。

【遺言書がある場合の相続手続】


遺産分割協議書を作る前に必要なこと

いきなり協議書を書き始めるのではなく、まず、

相続人を確定すること

と

相続財産を確認すること

が必要です。

相続人が確定していなければ、協議に参加すべき人が分かりません。

また、財産調査が不十分なまま協議をすると、後から不動産や預貯金が見つかり、再度協議が必要になる場合があります。

そのため、

相続人調査 → 相続財産調査 → 遺産分割協議 → 協議書作成

という順番で進めるのが基本です。

【相続手続は何から始める?相続発生後の手続と順番】


遺産分割協議書を作成するときの必要書類

「遺産分割協議書を作るには何が必要ですか」というご相談は非常に多いですが、ここで注意したいのは、

協議書を作るために確認する資料

と、

相続登記など、その後の手続で提出する必要書類

は完全に同じではないという点です。

一般的には、次のような資料を確認します。

資料主な目的
被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍相続人を確定する
相続人の戸籍現在の身分関係を確認する
被相続人の住民票除票・戸籍の附票等被相続人の住所関係を確認する
相続人の印鑑証明書協議内容・実印の確認、各種相続手続
不動産の登記事項証明書不動産を正確に特定する
固定資産関係資料不動産の確認・評価等
預貯金の通帳・残高証明書等金融資産を確認する
証券会社の資料株式・投資信託等を確認する
車検証等自動車を特定する

必要となる資料は、相続財産の種類や手続によって異なります。

法務局が公表している「遺産分割協議による相続登記」のチェックリストでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍類、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などが案内されています。法務局


法定相続情報一覧図を利用できる場合もある

戸籍謄本等は、銀行や証券会社など複数の相続手続で何度も必要になることがあります。

そこで利用できるのが法定相続情報証明制度です。

戸籍等を基に作成した法定相続情報一覧図を法務局へ提出し、登記官による確認を受けることで、その写しを各種相続手続に利用できる制度です。

法務省も、戸籍謄本等に代えて法定相続情報一覧図の写しを各種相続手続で利用できると案内しています。法務省

相続手続を複数の金融機関などで行う場合には、活用を検討する価値があります。


遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書には、法律上すべてのケースに共通する一種類の定型書式があるわけではありません。

しかし、相続登記や金融機関で利用することを考えると、財産と取得者を曖昧にせず、誰が読んでも内容を特定できるように作成することが重要です。

1.被相続人を特定する

まず、誰の相続についての協議書なのかを明確にします。

通常は、

被相続人の氏名
死亡年月日
最後の住所
最後の本籍

などを記載します。

2.相続人全員が協議したことを記載する

「上記被相続人の遺産について、共同相続人全員で協議した結果、次のとおり遺産を分割することに合意した」

といった趣旨を記載します。

3.誰がどの財産を取得するか正確に記載する

ここが協議書の中心です。

例えば不動産であれば、日常的に使用している「横浜市○○町の自宅」という表現だけではなく、登記事項証明書の記載に基づいて土地・建物を特定することが重要です。

預貯金なら、

金融機関名
支店名
預金種別
口座番号

などを記載して特定します。

4.後から判明した財産の扱いを検討する

協議後に新たな財産が判明することもあります。

そのため、

「本協議書に記載のない遺産が後日判明した場合の取扱い」

をあらかじめ定めるケースもあります。

ただし、後日判明した財産を誰が取得するかについて一律の条項を入れればよいわけではありません。

相続人間の公平性や相続税への影響などもあり得るため、具体的な事情に応じて定めます。

5.相続人が署名・押印する

相続登記などで使用する場合には、通常、相続人が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

法務局の遺産分割による相続登記の必要書類でも、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が示されています。


遺産分割協議書は実印でなければ無効?

ここは少し分けて考える必要があります。

遺産分割の合意そのものと、その協議書を相続登記などの手続に使用できるかは同じ問題ではありません。

相続登記では、遺産分割協議書について相続人の印鑑証明書が必要となるため、実務上は実印による押印が基本です。

銀行などでも実印・印鑑証明書を求められることがあります。

そのため、後の相続手続に使用することを考えれば、最初から相続人全員が実印で押印する形で作成するのが一般的です。


遺産分割協議書は何部作ればよい?

一律に「○部作らなければならない」という決まりではありません。

相続人それぞれが原本を保管したい場合や、複数の金融機関で同時に手続を行いたい場合などには、複数の原本を作成することがあります。

複数部作成する場合は、原則としてそれぞれについて相続人全員が署名・押印します。

実際に何部必要になるかは、相続人の人数と、相続登記・金融機関・証券会社・自動車等の手続件数を確認したうえで決めるとよいでしょう。


遺産分割協議書の作成でお困りの方へ

相続では、遺産分割協議書を書き始める前の、

相続人の確定

と

相続財産の確認

が重要です。

「戸籍をどこまで集めればいいのか分からない」

「不動産や預貯金をどう記載すればよいか分からない」

「相続人全員で話はまとまっているので、協議書として正確に書面化したい」

という場合には、行政書士へご相談いただけます。

とのうち行政書士事務所では、横浜市を中心に、相続人調査、相続関係説明図、遺産分割協議書等の作成をサポートしています。

[遺産分割協議書について相談する]


遺産分割協議書に作成期限はある?

遺産分割協議書そのものについて、一般的に「死亡から○か月以内に必ず作成しなければならない」という一律の作成期限が設けられているわけではありません。

しかし、だからといって遺産分割をいつまでも放置してよいわけではありません。

現在は、特に次の期限に注意する必要があります。


相続開始から10年経過すると遺産分割のルールが変わる

2023年4月1日から、長期間経過後の遺産分割について新しいルールが施行されています。

原則として、被相続人の死亡から10年を経過した後の遺産分割では、生前贈与による特別受益や寄与分などを考慮した「具体的相続分」ではなく、法定相続分または指定相続分によることになります。法務省

ただし、10年経過前に家庭裁判所へ遺産分割を請求した場合などには例外があります。

また、10年経過後であっても、相続人全員が合意すれば、具体的相続分を反映した分割をすること自体は可能です。法務省

したがって、

「10年経ったら遺産分割そのものができなくなる」

という意味ではありません。


不動産がある場合は相続登記の「3年」に注意

2024年4月1日から、相続登記が義務化されています。

相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、自己のために相続が開始したことと、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

また、遺産分割が成立した場合には、遺産分割によって不動産を取得した相続人に、遺産分割成立日から3年以内にその内容を反映した登記を申請する追加的な義務があります。

正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

2024年4月1日より前の相続にも注意

相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続についても対象です。

2024年4月1日以前から相続した不動産について取得を知っていたケースでは、原則として2027年3月31日が期限となります。法務省

2026年現在、過去の相続について登記をしていない不動産がある場合には、早めに確認することをおすすめします。


相続税がかかる場合は10か月以内

相続税の申告が必要な場合は、

相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内

に申告・納税する必要があります。

注意したいのは、遺産分割協議が終わっていなくても、相続税の申告期限が延長されるわけではないことです。

国税庁も、財産が未分割であっても10か月以内に申告・納税する必要があると案内しています。

したがって、相続税が発生する可能性がある場合には、税理士への相談も早めに検討する必要があります。


相続放棄を考えている場合は3か月に注意

借金が多いなどの理由で相続放棄を検討している場合は、遺産分割協議より前に確認すべきことがあります。

相続放棄は、原則として、

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内

に家庭裁判所へ申述する必要があります。

ここで重要なのは、

「遺産分割協議で財産を何ももらわないこと」と「家庭裁判所で相続放棄をすること」は別の手続

だということです。

家庭裁判所で相続放棄が受理されると、その人は原則として初めから相続人ではなかったものとして扱われ、被相続人の債務を相続によって負担しないことになります。裁判所

借金がある可能性がある場合には、単に「私は財産をもらわないから大丈夫」と判断しないことが重要です。


遺産分割協議がまとまらない場合は?

相続人全員が合意できなければ、通常の遺産分割協議書を作成することはできません。

相続人同士で、

「不動産を誰が取得するか」

「生前贈与をどう扱うか」

「財産の評価額について意見が合わない」

などの争いが生じている場合は、家庭裁判所における遺産分割調停・審判や、弁護士への相談を検討することになります。

行政書士は、既に法的紛争の段階にある事案について相手方との交渉を行う立場ではありません。

日本行政書士会連合会も、行政書士の相続業務について、法的紛争段階にある事案や税務・登記申請業務を除き、遺産分割協議書や相続関係説明図等の書類作成、前提となる調査を行うと案内しています。行政書士会


行政書士に依頼できること

行政書士は、「権利義務に関する書類」の一つとして遺産分割協議書を作成することができます。日本行政書士会連合会も、遺産分割協議書を行政書士が作成できる代表的な権利義務関係書類として明示しています。行政書士会

とのうち行政書士事務所では、相続人間ですでに協議が整っているケースなどについて、

相続人を確定するための戸籍収集・調査、相続関係説明図の作成、相続財産に関する資料整理、合意内容に基づく遺産分割協議書の作成などを行うことができます。

一方で、相続人間で争いが生じている場合の交渉や紛争解決は弁護士、相続登記の代理申請は司法書士等、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域となります。

必要に応じ、それぞれの専門家へ相談することが重要です。行政書士会


遺産分割協議書についてよくある質問

遺産分割協議書は自分で作れますか?

作成すること自体は可能です。

ただし、相続人を一人でも漏らしたり、不動産の表示など財産の特定が不十分だったりすると、その後の相続手続で使用できないことがあります。

特に不動産、複数の預貯金、株式などがある場合には、実際にどの手続で使用するのかまで考えて作成することが重要です。

遺産分割協議書は手書きでなければいけませんか?

本文をパソコンで作成することも一般的です。

重要なのは、相続人、対象財産、取得者、合意内容を正確に記載することです。

相続登記等で使用する場合には、押印や印鑑証明書について各手続の要件を確認します。

相続人の一人が署名してくれない場合はどうなりますか?

相続人全員の合意が成立していないため、通常の遺産分割協議書として完成させることはできません。

話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停等を検討することになります。

後から別の財産が見つかった場合はどうなりますか?

既存の遺産分割協議書の内容や、後から見つかった財産についての条項によって対応が異なります。

未分割の財産について改めて相続人全員で協議する方法などがあります。

不動産がある場合、行政書士に相続登記も依頼できますか?

行政書士は遺産分割協議書等の作成を行えますが、不動産の相続登記申請の代理そのものは司法書士等の業務です。

遺産分割協議書の作成と相続登記は、業務を分けて考える必要があります。


遺産分割協議書は「作る前の確認」が重要です

遺産分割協議書は、単にひな形へ相続人の氏名と財産を書き込めばよいものではありません。

まず、

相続人が誰なのか

を正確に確認し、

どの財産が相続財産なのか

を調査したうえで、

相続人全員で分け方を決める

という手順が重要です。

さらに、不動産があれば相続登記、相続税が発生する場合には税務申告など、その後の手続と期限も考慮して進める必要があります。

早い段階で相続手続全体を整理しておくことで、戸籍の取り直しや協議書の作り直しを防ぎやすくなります。


横浜・神奈川で遺産分割協議書の作成をご検討の方へ

とのうち行政書士事務所では、横浜市を中心に、遺産分割協議書の作成や相続手続に関するご相談を承っています。

「何から相続手続を始めればよいか分からない」

「相続人を確定するための戸籍を集めたい」

「相続人同士で話はまとまっているので、正式な遺産分割協議書を作りたい」

「不動産や預貯金を協議書にどう記載すればよいか分からない」

という段階からでもご相談いただけます。

相続人関係や財産の内容を確認し、必要となる書類と今後の手続を整理したうえで、遺産分割協議書等の作成をサポートいたします。

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